王の運命〜歴史を変えた8日間【韓国映画 感想】
朝鮮王朝最大の悲劇
米びつに閉じ込められた8日間
王の運命
사도
まず先に言いたいのが、凄いキャストです!
李氏朝鮮王朝21代目、英祖(ヨンジョ)役にソン・ガンホ
英祖の次男、イ・ソンこと、思悼世子(サドセジャ)役にユ・アイン
イ・サン(思悼世子の息子)が大人になったチョイ役として、最後に登場するソ・ジソプ
ソン・ガンホの安定の演技力、ユ・アインの鬼気迫る演技、そして最後にチョイ役なのにも関わらず、父を思うイ・サン役を見事にこなすソ・ジソプ。
いや〜〜、凄い!!!!
しかしまぁ、何とも切なすぎる親子のすれ違いです。
父親は自由奔放な息子の、王としての将来を心配し、異常な程厳しくします。
息子にはそんな父の想いは伝わらず、ただ父に優しい言葉をかけてもらいたい一心。
そんな息子を父は、やれ服の着方がだらしがないだの、絵ばっかり描くなだの、事あるごとに叱りつけます。
互いを信頼できなくなるまで親子関係は破綻に向かい、臣下からの告げ口により思悼世子の謀反まで疑う事に。
その内何を言っても許してくれない父に恨みを抱くようになり、思悼世子はどんどん精神的に病んでいき、常軌を逸した行動に出てしまいます…
これ、現代でも親子あるあるですよね?
ただ最も悲劇だったのは、これが王と、王の息子だったということ。
劇中でも「普通の親子ならこんな事にはならなかった」と悲痛な叫びが聞こえてきます。
思悼世子を題材にしたドラマや映画は多く、「秘密の扉」でのイ・ソンはかなり脚色されて描かれているようです。
(個人的に私は、聡明なイソンを演じるイジェフンが大好きで、しばらく現実に戻れませんでしたが)
実際諸説ありますが、父親が息子を米びつに閉じ込め餓死させるという、しかも世子を。
朝鮮王朝最も酷い事件として有名ですが、もしかすると、米びつに閉じ込められる程手に負えなかった息子…と、見受けられるのかもしれません。
ただ後に、思悼の息子であるイ・サンは、思悼世子の名誉を回復し、お墓を建て直します。
サンにとって、英祖はハラボジ(祖父)だけど、そのハラボジにアボジ(父)を殺されるという。
イ・サンも、とても悲運ですね。
歴史上最も素晴らしい王だった事で有名ですが、子供の頃の悲劇を繰り返さぬよう、肝に銘じて生きたんでしょうか。
それも、何とも切ないです。
そして思悼世子には、「世子を思い、悼む」という意味が込められています。
思悼世子死後、英祖が哀れに思い名付けた。
この時点で、何だかんだ厳しくしたのも全て息子への愛情だったのを感じます。
それが全く伝わらない…なんとも悲しい悲劇。
米びつの中で、小さく固まって亡くなったセジャの顔を触るヨンジョの姿は、とても痛々しかった…
忘れられない映画になりそうです。
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